もしも、君と。


幸太君と歩いて行くにつれて遠ざかる龍也のお墓。



その時、風が吹きつけて一瞬目を瞑る。



“真梨恵━━━…”



不意に後ろで名前を呼ばれた気がした。



「え……?」



すぐに振り返るけど誰もいない。



「どうかしたか?」



「ううん、なんでもない。」



私はなんとなく龍也なんじゃないかと思った。



“また来るね。”



私はそう心の中で呟き、その場を後にした。



帰りの車の中で幸太君が龍也の話をしてくれた。



「真梨恵ちゃんに出逢って龍也変わったんだよ。」



「え、そうなの?」

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