眼鏡をかけるのは、溺愛のサイン。
私は持ってきたパソコンを立ち上げて、仕事に取り掛かる。このパソコンはネットに繋げていないので機密情報の管理も気を付けないといけない。
「崎田だが」
「はい」
「君が嫉妬してくれるといいなと、心の隅で思っていたことをまず謝罪しておくよ」
「なんでですか!? 仕事できる先輩に嫉妬なんてしませんよ」
訝しげに眞井さんを見てみると、なんだかまた思っていた回答が来なかったらしい。面食らっている。
「社長?」
「いや、君は経験がなさ過ぎて、かなり鈍いのかもしれない。面白い」
褒められてないのだけは分かる反応に、方頬を膨らませる。
「仕事ももっと頭の回転が速ければ、社長の負担を減らせるんですけどね」
「ああ。君は職場に居たら、全部仕事の方と結びつけるようなので、やめとく」
見放されたような言葉だったのに、眞井さんの顔を見るとすごく嬉しそうな少年みたいに生き生きした表情をしていた。
「俺は大学で起業、崎田も大学時代に結婚。色々と同年代が苦労しないことで苦労するから、向こうからつるんできただけだ」
「へえ。やはりあんな綺麗な人ですもんね。結婚してますよねえ。えー、でも社長と同じ年には見えない。全然見えない!」