眼鏡をかけるのは、溺愛のサイン。
私の一億倍は綺麗で、自信に満ち溢れたオーラとか、抜群のスタイルとか。
彼女が強気なのも納得できる。
「君が落ち込んでいたら……と思って励ましたかったんだが、余計なお世話だったようだ」
「え? 落ち込む?」
「彼女は自分にも周りにも評価が厳しいから。まあ彼女の情報を勝手に伝えてしまったのは後で謝罪しておこう」
「はあ。了解です」
一人で納得されてしまったので、それ以上追及せずにパソコン画面に視線を移すと仕事へ戻った。
崎田さんが結婚されてるのは、もしかして社内では内緒なのかもしれない。崎田さんの美しさに吸い寄せられてやってくる人もいるかもしれないから、言わないのかな。私も黙っていよう。
「眩しいな」
会議室の一番奥の長机に座っていた眞井さんは、立ち上がると私の一個椅子をあけて隣に座る。
でもそこは、会議室を開けてすぐ目に入る場所なので、新入社員が驚いて飛び上がりそうだ。
「あの、ブラインドおさげしますよ。温度も下げます」
「俺から君に近づく言い訳を奪わなくていいから」