ドクターと甘い恋

*陽向side

嶺菜の背中をさすものの、嶺菜は泣かなかった。


我慢してるとか、そういうんじゃなくて。

もう、泣けなくなったという言葉が適切なようだった。


「嶺菜、大丈夫。

治療終わったら取れるからね」



心が繊細な嶺菜。

不安を取り除いてやれる部分は全部取り除いてやりたい。



「……も、お家…帰りたい…」


「ごめんな、もうちょっと一緒にがんばろ」


「いつまで、わたし…苦しい思いしなきゃ、ダメ…?」



嶺菜は、途切れ途切れに言葉を繋げる。

それは、嶺菜の悲痛な心の叫びに聞こえて。


胸が締め付けられた。


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