ドクターと甘い恋
わがままを言ってるのは、百も承知。


だけど、嫌なんだもん。

あの苦しい治療なんか乗り越えられない。



「絶対治すから。」


「俺は、嶺菜が治るなら嫌われても治療する。
治したいから、生きてて欲しいから。」


「ふぇっ、グスン」



陽向先生の真っ直ぐな言葉が心に響いて、嗚咽が止まらなかった。



必要としてくれてる人がいる。

"生きてて欲しい"そう言ってくれる人が、いる。



「嶺菜、一緒に頑張ろう?

逃げたくなったら、俺が支える。
不安になったら、傍にいる。
泣いてもいい、たくさん俺や看護師さんたちに迷惑かけていい。」



陽向先生はわたしの頬につたるキラリとしたものを親指で拭うと、ニッコリと微笑んだ。




「だから、俺と一緒に治そう病気を。」



< 22 / 140 >

この作品をシェア

pagetop