ドクターと甘い恋
「あ、起きたね」


入ってきた祐希先生はいつも通りの柔らかい笑みを浮かべるけど、その笑はどこか寂しげに見えた。


……悲しませてごめんなさい。

そんな想いが涙となって、頬をつたる。


白血病になって、治療拒否で迷惑をかけて、さらにこんなことまでして…。



陽向先生に見捨てられちゃうかな?

もう、治してくれる人もいないかな。



怒っちゃったよね、先生に言われた約束守れなかった。

『心の叫びを受け止める自信ある』そう言ってくれたのに、何一つ相談できなかった。



でも、やっぱり大切なんだよ、先生達が。

みんな、わたしに笑ってくれるから。



……大切だから、泣かせたくない。

笑っててほしい、そのために私なんかのそばにいたら誰も笑えない。


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