俺はいつも一歩遅くて…。


「諦めるのか?」

え?


隣から急に声がした


「諦めるのかっつってんだよ!」

「椿…?」

「お前声に出てる。何が
結構お似合いじゃねぇか。だよ。」

真剣に俺を見つめてくる。

「だってよ…。」

何だか自分に自信が持てなくて
俺は椿から目線を下へとそらした。

「お前、今までなんて言ってた?」
「は?今まで?」

「お前は、
今までずっと言ってたじゃねぇか。

俺は凛に惚れてもらえるような男になる。
その為なら努力なんて苦じゃねぇ。


って。」

あぁ…言ってたとも。
でも鈴木の方が似合うじゃねぇか。

「お前の努力なんてそんなもんか?」

「はぁ?!」
俺の努力はそんな甘くなんかっ

そう思って椿の顔を見た。
真っ直ぐ俺を見つめてる…。

「違うだろ?
お前のあいつへの思いは世界一なんだろ?」

「ばぁか。宇宙一だよ。」

フッ


2人して笑いが込み上げてきた。


「俺は知ってる。お前の努力を。
お前の頑張りを。
大丈夫。俺がお前は良い男だって保証する。
この俺がだぞ? だから自信持て。
望みが少しでもあるなら粘れ。
粘って粘って粘り通せばきっと、
いつか、何か変わるかもしれないだろ?」

確かに。
あいつは鈴木を振ったんだ。
まだ付き合ったわけでもない。

俺、このままあいつらが付き合ったら
また後悔する所だった。

「あぁ。そうだな。
これからは俺も全力でぶつかってやる」
ニッと笑う。

「おぅ。俺はお前を応援するぜ。」

トン。と椿が俺の胸を
握りしめた拳で優しく叩く。

「ごめん。助かった。」

「いーえ。親友ですから。」




まだ。チャンスはある。

まだ。俺は、頑張れる。
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