俺はいつも一歩遅くて…。

「おはよっ椿っなずなっ‼︎
今日は絶対勝ってよ〜!!」
バシバシと俺と椿の背中を強く叩いた。
「おぅ。」
「俺の事見とけよ〜っ」

「椿‼︎なずっ‼︎弁当…ちゃんと作った‼︎」
凛手を見ると4の弁当箱があった…


中身何かな…今日は凛も見てくれるんだ。
「さんきゅ。楽しみにしてる。」
「やった〜‼︎凛の弁当だ‼︎」


「お〜い。集合‼︎」


「あ。じゃ、行って来る‼︎」
「俺らのことちゃんと見ててよ。」

「はいはい、」「頑張って〜」


2人の声援に見送られながら
俺達はアップをして、試合会場へと入る。


俺と椿は無事にレギュラー入り。
スタメンは、
3年の遠藤先輩と、御子柴先輩。
2年の桜庭先輩。
1年の俺と椿になった。


高校総体は、インターハイ前の試合。
ここで負けると
インターハイ出場はできない。

つまり、3年生にとって
最後になるかもしれない試合だ。


それなのに、スタメンは、
5人中2人しか3年がいない。

それにあいつも見にきてる。


俺は絶対勝つ。

きつくバッシュを締めて、

「すぅ〜〜はぁ〜〜………よし。」

深く深く深呼吸をする。

そして、俺にとって御守りの
赤いリストバンドを腕にはめる。


今日俺は、絶対勝つ。





「なずな、椿。先輩のためにも絶対勝つ。」
桜庭先輩はバッシュの靴紐を、
きつく締めながら真剣な表情でそう言った。

「………なずな?」

「大丈夫です。桜庭先輩。
今日のこいつは、気合い充分です。」
椿はなずなを見て、ニヤッと笑った。






「お前ら、頑張れよ。」
ベンチで見守る先輩達に送り出されて
コートに入る。


俺達は別に弱小校ではない。
しかし相手は、近年優勝常連校。
今年も優勝じゃないかと言われている。


でも、それが何だ。

「椿、いくぞ。」

「おぅ。」


キュッ
















〝ゲームスタート〟
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