俺はいつも一歩遅くて…。

高校総体




4コーター目

残り2:00

56:60で負けていた。


ディフェンス重視で粘っていたが
相手のオフェンス技術が凄すぎて、
俺らの体力が底をつきかけていた。


後4点…後2ゴールで同点…



キュッ…



周りの声援は、試合に集中するあまり
良く聞こえていなかった。



「なずなっ‼︎」

パシッ


御子柴先輩からパスを貰い
ゴールの方へ走り出す。

そこに、相手が立ちふさがる

「クソッ…」

流石は優勝常連校
全然相手を抜くことができない…


「なずなっ」

チラッと声のした方へ目をやると
丁度いいポジションに
桜庭先輩がいた。


パシッ


俺は桜庭先輩にパス出した。


よし。今先輩は
誰にもマークされていない‼︎いける‼︎



シュッ



桜庭先輩はいつも通りの
綺麗なフォームでシュートを狙う。


入れぇぇぇぇぇ‼︎




ガゴンガゴンガゴン…シュッ



入った‼︎


「ウォォォォ‼︎」


おわっ!ビビった…



声援が、
まるで体育館が揺れているかのように
一斉に聞こえた。




58:60…

残り1:00…



後少し。


ここで相手に打たせずに…せめて後1本っ…



キュッ



キュッ




先輩も皆頑張ってる。
体力が限界な中…
足も限界がきてるはずなのにっ


俺だって…



「なずなっ‼︎すまんっ‼︎」


声のした方を見ると

ボールを持った相手が
桜庭先輩を抜いてこっちに向かってくる



俺はすぐにそいつに付くが


「あっ‼︎」



シュッ




シュートが…




58:60

残り………0:05……





ピーーーーーーーッ




タイマーの音が体育館内に鳴り響く


試合が終わった。
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