俺はいつも一歩遅くて…。


「クソッ…」


俺達が落ち込む中

相手チームはとても嬉しそうに

はしゃぐ




申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら
俺達はベンチに戻った。


「先輩達…すみません。」
俺がもっと…


後悔は沢山あった。

顔を合わせるのが申し訳なくて
ずっと下を向いて顔を伏せていた。

「お前のせいじゃない。
俺があの時逃してなかったら。」


そう言いうと
俺の頭に暖い温もりが伝わる。

「桜庭先輩…」

見上げると桜庭先輩を顔を伏せていた。
だけど、俺よりも
少し背の高い先輩の顔は
俺の方からははっきりと見えた。


とても悔しそうで
とても申し訳なさそうで
強く、唇を噛み締めている
先輩の顔が…。







「俺達は正直、
ここまで行くとは思わなかった。
優勝常連校相手にこんなに迫ったんだ
お前達の代は安心だな。
最後まで頑張ってくれてありがとな…。」


そう言って笑顔を向けたのは
3年で俺達のキャプテン。
御子柴先輩だった。


「でもっ…」

最後の先輩の試合に…

「俺らはお前らが出てくれて
とってもよかったと思うぜ?」

「俺も」

「俺ら皆んなそう思ってる。」

「先輩…」

声をかけてくれたのは
ベンチに残った先輩達だった。


最後の試合だったのに…
もう部活は出来ないのに。

本当は泣きたくてたまらない。

そう訴えるように
目が潤んでいたり、眉間にしわを寄せてたり
唇を噛み締めていたり…


クソッ…





後悔でいっぱいの試合になった。
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