俺はいつも一歩遅くて…。
変化

真面目男子とチャラ男

キーンコーンカーンコーン

ベルが鳴ると同時に担任が教室へ入ってきた

「起立。礼。」
いつもの朝のHR。
いつもの席。

左端の1番後ろ
凛は1番真ん中の前から3番目
斜めの隙間で丁度綺麗に見える場所

こんなにクジ運良かったんだな〜オレ。

前には椿。
凛の左隣には真琴がいる。

「おーい。おーいなずなっ」
目の前で椿に手を振られて俺ははっとする。

「何ぼーっとしてんの?HRおわったぜ〜?」

いつの間にか
HRが終わってたみたいだ。

「おぅ。」

「お前今日はやけに静かだな〜?」

「そうか?」

俺はいつもこうじゃないか?


そう思ってると


「つっ椿君‼︎
班決めもうしちゃった…??」
頬をほんのり赤く染めながら
1人の女子が椿に話しかけた

「まだだよー。
でも俺はなずなとやりたいな〜」

そう言いながら椿は俺を見る。


「班決め?何の話?」

「え!お前担任の話聞いてなかったのかよ‼︎

明後日にあるオリエンテーション。
皆んなで一泊二日するんだってさ
それの班で、男子2人、女子2人だとよ」

「まぢか‼︎俺も椿と組みたい‼︎」

「だからなろうって言ってるだろ〜?」

オリエンテーション
泊まりは中学の修学旅行以来だ‼︎
楽しみだ‼︎


あとは女子だな。



でも俺は…凛と…


不意に凛を見つめる


「で…その…私達一緒にならない?」

さっき椿に話しかけてた奴が言った
後ろにももう1人女がいる


「椿はモテるからなー。
じゃあ俺は違うやつと組もうかなっ。
椿はもう1人イケメンでも捕まえてやんな」

椿と組みたかったんだけど
俺と一緒だと女子はつまんねぇだろうし…


「え!おいなずなっ‼︎
俺はお前と組みたいっつぅの‼︎」

「え。でも
俺とだと女子に迷惑じゃねぇか?」

女子に視線を向けると

「とんでもないよ‼︎
椿だけじゃなくて
なずな君まで一緒になれるなんて…‼︎
わ、、私達、、、死んじゃう‼︎」

そう言うと女子が1人倒れた

「えええええ!おい。大丈夫か‼︎おい!

やっぱ俺だと不安だよな‼︎
他の奴に頼め‼︎
別に椿と一緒じゃないからって
恨んだりしねぇからさっ‼︎」

そう言ってもう1人の女子の肩を掴むと

「う!は!うわぁ〜〜し…ぬ…」

バタンっ。


もう1人の女子も倒れた…


「ウォォォォ。
2人も殺してしまった。


俺もぉオリエンテーション行かねぇ‼︎」

クソ〜やっぱ女子分かんねぇ
何で椿は良くて
俺はダメなんだ…
俺は誠実だけど椿はチャラ男…


はっ‼︎まさか…‼︎

「チャラ男…になるか…?…」
ボソッと呟いた

「おぃ!それはやめとけ。
なずなにチャラ男はつとまらねぇ」
椿が必死で俺を止めにかかってきた

「俺だってできる‼︎」

ガタッ

俺はそう言うと席を立ち
さっき倒れた女子に歩み寄った

椿なら…椿ならきっと…

「大丈夫かい?ごめんね。
怖い思いさせて…
君があまりにも可愛すぎて、
思わず怖い態度をとってしまったようだ」

俺はそう言いながら、その女子を見つめた。



シーン…



おいおいおい。誰か何か言ってくれ

何なんだこの空気は‼︎
俺、すべった?すべったのか?!



シーン…



クッソ〜‼︎

「な…なずなくん…顔真っ赤だよ…?」
少し赤くなりながらも
クスクスと笑いながら女の子は指摘した


「うっうるせぇ‼︎」

あークソ。やっぱ椿は凄い。


「自分で恥ずかしい言葉言っといて
自分で照れてんじゃねぇよ。」
大笑いする椿。

「お前は何でこんな恥ずかしい言葉
いつもいつも吐けるんだよっ‼︎」

「え…だって俺、
そーゆうのできちゃうタイプだから…」


「聞いた俺が馬鹿だった。」


大きくため息をつくと

「ごめん。怒鳴ったりして…立てるか?
保健室まで連れて言ってやる。」

「えっ良いの?」

「俺のせいで怖い思いもさせたしな。」

はー。やっぱ俺って
まだまだお子様なのか?

これじゃあいつを振り向かせるなんて
到底できるわけねぇじゃねぇか。


「はぁぁ…。

椿、俺こいつら保健室まで連れてく」


「はいはーい。
早く行かないと授業始まるよー。」

「うぃー。」


ガラガラガラ



俺はその後、
保健室まで連れて言ったが

悔しさでいっぱいで
女の子の話を全く聞いてなくて

保健室で怒られた。











その頃教室では


「本当、にぶいなぁ…なずなは」
と言いながら
椿が小さく笑っていた。





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