秘密の糸Season1㊤
《円花のこと好きなのか?》


正直分からない…。


でも今日、三田倉が彼氏の話を嬉しそうにしていた時、


…こんな一生懸命な奴に思って貰えるなんて羨ましいと思った。


さっき車に轢かられそうな三田倉を助けた時、俺はいつのまにか三田倉を抱きしめていた。


その時の手の感覚が、まだしっかりと残っていた。


今日だってあの時、三田倉に傘を借りて帰れば良かったはずだった。


なのに俺は、最初断った。


だけどそれは、迷惑をかけると思ったから。


けど俺が断り続けても、三田倉はグイグイ来た。


そして三田倉は、俺を傘に入れてくれた。


「俺と相合傘なんて絶対、嫌だっただろうな…。」  


けど…申し訳ない半分、嬉しかった自分がいた。


彼氏さんの前では、お礼に送ったとか言ったけど、


あの時、本当は…俺は…


心のどこかで、三田倉ともっと…


近づきたいと思っていたのかもしれない。


少しでも…


近く…。三田倉の側に…。
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