秘密の糸Season1㊤
(早く…。去ってくれ…。)


その時、


「…嫌です。」


そう言って、三田倉が口を開いた。


「は?」


俺は思わず、身体を向き直した。


「井上さんがこんな状態なのに、放っていけません!
私は井上さんの後輩なんですから、先輩を手助けするのも後輩の仕事です!」


「…三田倉」


お前は本当に良いやつだ。


出来る後輩で、頼りになる。


今までの俺ならそれだけ分かれば十分だった…。


だけど今、それ以上の感情を俺は持ってしまい、


分からなくて良かったことまで、分かってしまった。


だから今、お前の顔見るの辛れぇんだよ…。


「俺、一人で大丈夫だから。」


「嫌です!どうしてですか?私、そんな信用ないですか?」


「ちげぇよ!そんな訳ないだろ!…辛れぇんだよ!」


「…え?」


その時、三田倉は、呆然としていた。 


俺は思わず、口に出してしまった。
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