秘密の糸Season1㊤
「しばらくしたら、井上がすっごい速さでこっちに戻って来て…だから俺は、思わず呼び止めた。
円花の浮気相手だと思ってたから。」


「そうだったんだ…。」


「井上から全部、話は聞いてた。」


「そっか…」


「……あのさ」


その時晋ちゃんは…少し間を空け、口を開いた。


「…井上は、円花の事、…好きだと思う。」 


「…井上さんが私を…?」


だけどそんなふうには見えた事はなかった。


でも…病院にいたあの時、井上さんの様子が少しおかしかった。


明らかに様子は変だった。


井上さんがあの時言った言葉…。


《ちげぇよ!そんな訳ないだろ!…辛れぇんだよ!》


その言葉がずっと、引っ掛かってた…。


「なあ、円花。…井上には、何もされてないよな?」


その時、晋ちゃんがじっと私の目をまっすぐ見た。


私は、心臓がドキドキした。


「な、な何もされてないよ?」


思わず動揺し、キョドってしまった。


「…嘘、下手だな。」

 
その時晋ちゃんが、ソファに私を押し倒した。
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