秘密の糸Season1㊤
第5話桜
【舞由香side】

あたしは皆と別れた後、サロンの前で待っていた。


しばらくして、涼汰が来た。


「…わりぃ。遅くなった。」


「…遅い。」


「…悪い。」


彼の名前は、香川涼汰《かがわりょうた》

19歳

あたしの彼氏。

高1から付き合ってもう3年になる。

付き合いたての頃は楽しかった。

だけど最近は、連絡も取ってないし、こうやって会うのも久しぶりだった。


いつからだろう…。


こんなふうな関係になったのは…。


もう別れても良いはずなのに、未だにあたし達は別れてない。


時々、思う。


あたし達って一体なんなんだろう…。


こんなんで付き合ってるって言えるのかな…?


今日の花火大会は、あたしから誘った。


もう一度昔のように、初めて二人で浴衣を着て、


デートしたあの時に戻れたらって…。


それだけで良かった…。


「…行こ。」


「…うん。」


そして涼汰は、背を向けた。


浴衣姿のあたしを見てももう、何も言ってくれない。


手も、繋がない。


(…今日の浴衣、新しくしたのにな…。)


涼汰の手を握ろうとしたその時、


「…何回る?」


パッと手を振り張られた…。そんな気がした。


「…その辺、ブラブラで良いよ。」


「分かった。」


そう言って涼汰は、スタスタ歩いた。


そしてあたし達は一度も手を繋がらず、何も話さないまま、屋台を歩き続けた。


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