秘密の糸Season1㊤
「お前…!」


俺は晋一の胸ぐらを掴んだ。


「何で…もっと早く言わなかった!」


「ずっと…ずっと…何度も言わないとって思った。
…けど兄貴の顔を見るたびに怖くて…」


「…ざけんな…。」


その時、俺の手は晋一の胸ぐらを掴んだまま震えていた。


「…何で…何で円花に話さなかった!?」


「…円花を失いたくなかったから…。」


「…お前どこまでも勝手だな。」


バッ


そして、俺は手を離した。


「晋一、清羅がした事は最低だし決して許されないことだ。
でも円花が居なくて寂しいからってそんな理由で、関係をもったお前はもっと最低だ」


「………」


「俺達、ずっと昔から三人でいたよな?
俺は小さい頃からずっと…円花だけを見てきた。
だけどお前らは両思いで、俺の入る隙なんてどこにもなかった。
…お前らには叶わないと思った。
円花にとって所詮俺は、兄貴にしか見られてない事もすぐに分かった。
でも最近、それも悪くないと思った。
だから今は兄貴として円花の側でいた。
お前になら円花を任せれると思ったのに…。
それなのに…。」

「…兄貴」

「晋一俺言ったよな?
円花を泣かすぐらいなら俺が貰うって」


「……」


「お前は円花を泣かせた、約束通り、円花は俺が貰う。」


俺はそう宣言をし、外に出た。
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