秘密の糸Season1㊤
発信履歴を見ると、確かに涼汰君に電話を掛けていた。

「どうして…?あ、もしかしてあの時…」

涼汰君と別れた後、連絡先を消そうとした。

その時突然、東藤さんに肩を掴まれた。

あの時びっくりして、間違って通話ボタンを押してしまったんだ…。

「…ごめんなさい。間違って掛けてた…。」

「はー…。焦った…声しないから…。…何もされてないか?」

私はコクリと頷いた。

「良かった…。ごめん…俺のせいで」

「どうして涼汰君が謝るの?」

「俺がちゃんと送れば、こんな事にならなかったのに…」

「違うよ…。これは…私の罰なの」

「罰…?」

「涼汰君、私ね、最近ずっとつけられてたの…」

「え?」

「カフェを出た後、本当は家の前につけられてた事、写真を送られてきた事…全部話そうと思った…。
でも、もう涼汰君に迷惑かけちゃいけないと思って話さなかった…。
それなのに…私…また涼汰君に迷惑かけてしまって…
本当にごめんなさい…」

もう二度と、迷惑をかけない…。

そう決めたのに

私はまた、涼汰君に迷惑をかけた…。

「…美菜が無事ならそれで良い。だから自分を責めんな。」

最後まで、本当に優しいんだね…。

「…ありがとう」

「つけられてたって…あいつにか?」

涼汰君は勘が良かった。

「…うん」

「…あいつお見合いの時にいた奴だよな…?何で今更…。」

「…私達がさっきカフェで話していた時、東藤さんもあのカフェにいたの…。私をずっとつけてたみたいで…。
涼汰君の事、バレてしまったの…。本当に…ごめんなさい…。」

ポロポロと涙が溢れ落ちた。

私はどこまで涼汰君に迷惑をかけてしまったのだろう…。

改めて自分のした全ての事が、掘り返される。

「ごめん!俺のせいで…」

違う…。涼汰君は私を助けてくれただけ。

涼汰君が責める事なんてない。

「…謝らないで。元々は私のせいでこうなってしまったから…。」

そう…

全ては私から始まった…。

「涼汰君も巻き込んでしまって…本当自業自得だよね…。」

謝って済む事じゃない…。

でも今の私には、ただただ謝る事しか出来ない…。

「美菜…」
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