フレーム
何をされたかを
涙を流しながら話した私の首元に
太一君の手が添えられ、
「助けに行ってやれなくて、悪かった。」
それだけ言うと、
また私の首元から手を離そうとする。
途端に無くなる暖かさが寂しくて、
怖くて、
もうなんだか自分でも分からないまま、
「は、離さないで。」
太一君の離れかけた腕を掴んで
そう言っていた。
「太一君だと…落ち着く、から」
一瞬目を見開く太一君。
そりゃそうだよね。
こんなこと言ったこと無いもん。
少しの沈黙の後、
再び私の首元に手を添え、
太一君は息を深く吐いて言う、
「大丈夫、どこも行かない。
あー…ごめん、目つぶって」
「え?…わ、分かった。」
太一君のその笑顔だけで、
不安だった心が一気に吹き飛ぶ。
……それにしても目をつぶるって、
なんだろ。
何も分からないまま、
おそるおそる目を閉じると…