フレーム
あたっていた髪の毛も、
息づかいも感じなくなり、
強張らせていた身体から力を抜く。
太一君だと分かっているから、
こわくない。
ゆっくり目を開けると、
目先、約数センチのところに
「!?」
太一君がいる。
そして、驚きを隠せず
目を見開いた瞬間
私の唇に、
太一が自分の唇を合わせたんだ。
力を抜いていたせいか、
反応が遅れて肩が少し上がる。
でもやっぱり…それでも
抵抗しようとは全く思わなくて、
離れていくのが少し寂しい、
なんて思ってしまった。
固まったまま動かないでいる私に、
太一君は片手で口元を隠しながら
「目つぶってろって、言っただろ。」
そう、少し顔を赤くしながら
目をそらしたんだ。