フレーム
部屋の入り口前で、
立ったままの私に
後ろから太一君がそう呼ぶ。
わあー……
なんでこんなに太一君は普通なんだろ。
振り向くタイミングを失った私は、
そのまま太一君に背を向けたまま
「な、なんでしょうか?」
そう言って手で顔を覆う。
「……何やってんの?ご飯だって。
ほら、下行く…何で顔赤いんだよ。」
二の腕を軽く引っ張られ、
笑っている太一君が私の目にうつる。
赤くない太一君が異常なんです。
まさか…太一君は
キスは誰とでも出来る、とか?
もしそうなら、
こんなに悩んでる私って…
「馬鹿みたい」
「え、何が?」
「あ……な、内緒!」
思わずこぼれた心の声。
誤魔化しきれてないけど、
気にしないことにする。
意味がわからない
そんな顔をした太一君をチラッと見る。