フレーム





緊張しているからか

疲れているからか、

いつもよりぎこちない環奈。


母さんは、

そんな環奈を食卓に座らせると

一方的に質問ぜめを始めた。


おしゃべりな母さんと

人見知りな環奈。



環奈、めっちゃおどおどしてんじゃん。

これは助けた方がいいよな。



そう助け舟を出そうと

口を開きかけると、




「あら!去年までは愛知に住んでたのね!

友達とか寂しくない?あ、もしかして恋人なんかもいたの??」




母さんの口から出た


"恋人"


という言葉に反応して、

口を閉じてしまった。



そう、だよな。

環奈のこと結構知ってるつもりでいたけど、

前に住んでたところでの知り合いの方が

当然、俺なんかよりたくさん環奈と関わっているわけで



元彼がいる、



なんてこともあり得ないこともない。

当たり前のことなのに、

こんなにも単純に不安になる俺。



本当に、馬鹿みたいだ。






< 331 / 509 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop