フレーム
緊張しているからか
疲れているからか、
いつもよりぎこちない環奈。
母さんは、
そんな環奈を食卓に座らせると
一方的に質問ぜめを始めた。
おしゃべりな母さんと
人見知りな環奈。
環奈、めっちゃおどおどしてんじゃん。
これは助けた方がいいよな。
そう助け舟を出そうと
口を開きかけると、
「あら!去年までは愛知に住んでたのね!
友達とか寂しくない?あ、もしかして恋人なんかもいたの??」
母さんの口から出た
"恋人"
という言葉に反応して、
口を閉じてしまった。
そう、だよな。
環奈のこと結構知ってるつもりでいたけど、
前に住んでたところでの知り合いの方が
当然、俺なんかよりたくさん環奈と関わっているわけで
元彼がいる、
なんてこともあり得ないこともない。
当たり前のことなのに、
こんなにも単純に不安になる俺。
本当に、馬鹿みたいだ。