フレーム
「え、俺、気づかれてなかったの?
何にそんな夢中に…」
そう言いかけて、
黙り込む太一君。
視線の先にはもちろん、
あのセッターさんの写真。
「しゃ、写真整理してて!
そろそろ送らないと…太一君?」
何で言い訳しようと思ったのか、
自分でもよく分からないでいると
太一君の視線が妙に動かないことに
違和感を覚える。
不思議に思いながら
画面と太一君を交互に見ていると、
その、刹那
きゅっと、
握られる手。
……!?
太一君の左手が
私の右手を包みこむ。
そして、
「手、震えてる。
まだ大丈夫じゃないんだな、やっぱり。」
私の目をまっすぐ見ながら
そう太一君が言ったんだ。