フレーム
「よーし、これで終わりか?」
「そ、そうだけど…
本当に大丈夫?倒れたり、しない?」
「合宿中に倒れた自分の方を心配しろよ」
そう部室の戸締りをしながら太一君が言ったことに、
言葉が詰まった。
心配、かけちゃってたよね。
もっと強くならなきゃいけないのに…。
そう口元を押さえて考え込むと、
「安心して、今なら環奈を受け止められる」
クシャッとそう笑う太一君と目が合った。
胸の奥がきゅっと締め付けられる。
速くなる鼓動を押さえられる気がしない。
聞こえてたら、どうしよう…。
「環奈?」
「はっ…えっと、その近いです、太一君が」
「はぁ…もう帰るぞ」
そうため息混じりに言って歩き始めた太一君。
「て、手伝ってくれてありがとう!」
精一杯頑張っても、
今の私にはこれくらいしか言うことが出来ない。
でもいつか、
太一君が好き
そう伝えられたらいいな。