最期の贈り物 ‐君への愛‐
「……たでーま」
カチャリ、と怯えているように静かにドアを開けた。
すると、ドタバタとこっちに来る音が聞こえてきて、可愛らしい、そりゃまぁ、日本版フランス人形というような可愛らしい女の子が出てきた。
ぱっちり二重が勿体ないくらい、睨みをきかしているけれど。
「お兄ちゃん!あんだけ言ったよね!?今日は早く帰ってきてって!今何時だと思ってるの?」
「日付変わるんじゃねぇの?」
「そう!てゆうか、まわってんの!ほんっと……、毎日毎日、夜遅くはやめてって言ってるじゃん!」
「へーへー。悪ぃ」
「絶対思ってない!そうやって、明日も遅くなるんでしょ!?」
睨みをきかせながら、玄関に突っ立ったままの燐に向かって、マシンガンのごとく怒り始めた。
可愛らしいお顔の面影さえも残さず、相当怒っているらしい。
家に普通はいない私の存在にも気づかないほどに。
「明日は早く帰ってくるって」
「昨日もそう言った……!もうっ、本当に……」
本当に……の後に、紡がれる言葉が私に分かってしまった。
妹さんはそこで言葉をやめ、はたと我に返ったのか、私の存在に気づいた。
やはり、二重の目はぱっちりとしていて、そのぱっちりしたお目目をさらに開き、勢いよく頭を下げた。
「すみません!恥ずかしいところをお見せしてしまって……!」
艶のある、胸元まで伸びた黒髪がバサッと下がった。
そんな勢いよく、頭を下げなくても……!