最期の贈り物 ‐君への愛‐
そうだ。
これから、一緒に住む人が二人もいる。
厄介になる分、精一杯お手伝いして、迷惑をかけるよりも、嬉しいをプレゼントしたい。
まぁ、私がそこに住む時点で、迷惑をかけてしまっているんだけど……。
私の家とは真反対の道を歩いて、感覚的に二十分程度か。
私は普段、あまり通らない小道を、燐は当たり前のようにサクサクと歩く。
元々燐の足が長いというのもあって、私は若干小走りをしながら追いかけていた。
でも、少し離れすぎたなと思ったら、燐が振り向いて待ってくれる。
そんなさりげない優しさが、心に染みた。
住宅街に入り、サクサクと歩いていた彼の足が止まった。
住宅街からほんの少し離れたところに、洋風の雰囲気を醸し出す、おしゃれな家が一軒建っている。
お金持ちだということがひと目でわかる、おしゃれな家だ。
一体、この家のお金は誰が支払っているのか。
私が考えることではないけれど、親がいないときいたからには考えずにはいられない。
「……燐、入らないの?」
家の門の前で、中々その門を開けようとしない燐に、流石にと思い、声をかけた。
燐は、あぁ、とこたえたが、不満気な声だった。
「入ると、妹が来てうっせぇんだよ。また説教されるわ」
それを聞いて納得する。
説教されたくないから入りたくないのか。
説教してくれるなんて、いい妹さんだ。
どんな人だろう。
お兄さんが銀髪の強面な感じだから、妹さんもそれに似てるのかなぁ。
きっと顔は整っているだろうなぁ。
なんて、色々な妄想をふくらませながら、燐が家のドアを開けるのを待った。