最期の贈り物 ‐君への愛‐


えっ?



ぽかん、と口を開けていると、皆が手招きをしてくれた。



燐も、来たら、と言ってくれた。



こんな……、真面目な野郎が言ってもいい場所なのだろうか。



きっと、蘭風っていう暴走族は、彼らの居場所に違いない。



だって、みんな楽しそうなんだもん。



そんな場所に、こんな私が踏み込んでもいいのか。



正直に言うと、ほんの少し、怖い。



〝暴走族〟という響きが、彼らの優しさをかき消す。



いい人達、いい人達、そう言い聞かせても、〝全国No.2の蘭風〟が消えてくれない……!





「……もしかして、怖い?」





中々、歩き出さない私を見て、翔がそんなことを言った。



でも、怖いですって言うことは、彼らを怖がっていると言っているのと同じだから、言いづらくて、苦笑いを浮かべることしか出来ない私。



なんなんだろう、私って。



そばにいたら強くなれるかなぁなんて思ったり。



皆が出ていくのがさみしいなって思ったり。



皆についていくのが怖いと思ったり。



矛盾しすぎじゃん……。





「優苗ちゃんっ、そんな怖がらなくても大丈夫だよ」





たろうさんは真っ先に私に優しい言葉をかけてくれた。



微笑んで私を見る。



娘を見守る父のような、そんな安心できるような優しい顔。
< 41 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop