最期の贈り物 ‐君への愛‐
えっ?
ぽかん、と口を開けていると、皆が手招きをしてくれた。
燐も、来たら、と言ってくれた。
こんな……、真面目な野郎が言ってもいい場所なのだろうか。
きっと、蘭風っていう暴走族は、彼らの居場所に違いない。
だって、みんな楽しそうなんだもん。
そんな場所に、こんな私が踏み込んでもいいのか。
正直に言うと、ほんの少し、怖い。
〝暴走族〟という響きが、彼らの優しさをかき消す。
いい人達、いい人達、そう言い聞かせても、〝全国No.2の蘭風〟が消えてくれない……!
「……もしかして、怖い?」
中々、歩き出さない私を見て、翔がそんなことを言った。
でも、怖いですって言うことは、彼らを怖がっていると言っているのと同じだから、言いづらくて、苦笑いを浮かべることしか出来ない私。
なんなんだろう、私って。
そばにいたら強くなれるかなぁなんて思ったり。
皆が出ていくのがさみしいなって思ったり。
皆についていくのが怖いと思ったり。
矛盾しすぎじゃん……。
「優苗ちゃんっ、そんな怖がらなくても大丈夫だよ」
たろうさんは真っ先に私に優しい言葉をかけてくれた。
微笑んで私を見る。
娘を見守る父のような、そんな安心できるような優しい顔。