愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
 ひ、ひゃぁ~怒られる――!

 鷹野部長は私の目の前まで来ると、腰をくっと曲げて、思わず視線を落とした私の顔を覗き込んだ。

「ほ、本当に申し訳ありませんでした。ご迷惑をおかけしてしまい――」

「君、もしかして……すず亭の鈴本茜……?」

「……へ?」

 鷹野部長の視線から無意識に目を逸らしていたが、予想外のその言葉に私は弾かれるように顔を上げた。

 すず亭……って――。

 な、ななななんでうちの実家のことを――!?

 あまりの驚きに目をぱちくりしていると、その様子に鷹野部長がニッと笑った。

「やっぱり! 茜ちゃんか!」

「え? ひゃあ!?」

 そう言うと、鷹野部長はいきなり私にガバリと抱きついて、瞬時に身を離すとぐっと私の両肩を掴んだ。

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