愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
「イギリスの大学を卒業してから海外の会社に務めたり……。ほとんど日本にはいなかったけどな、だからか、なんとなく日本暮らしに馴染めないような気がしてたんだが、レティアの社長が俺を引き抜いてくれてね、今に至るって感じ」
帰国子女! か、かっこいいな――。
当たり前だけど、英語だってネイティブ並にペラペラなんだろう。私は思わず憧れの目で見てしまう。そんなふうに思っていると、注文していたすき焼き御膳が運ばれてきた。
「美味しそう!」
最近はコンビニ弁当がメインだったせいか、いきなりこんな豪勢なものを食べて腹痛を起こさないか心配になる。
「お手伝いいたします」
若い仲居さんが、私と鷹野部長のすき焼きを手際よく準備していく。鉄鍋に牛脂を入れて、すでに下処理された野菜と肉が投入される。薄く切られた霜降りの肉を見ると、かなりいい肉を使っているとわかる。
「けど、茜ちゃんと許嫁と言いながら仕事が忙しくて……。本当は日本に一時帰国した時、何度も茜ちゃんに会おうと思ってたんだ」
「え……?」
いい具合に焼けた肉を卵につける手を止めて、私は鷹野部長に視線を向ける。
「今まで何も連絡せずだったのに、いきなり会いに行くなんて、ちょっと都合がいいかなって……はぁ、男のくせに足踏みしてしまって情けないな。でも、茜ちゃんがこんな綺麗になってるなんて知ってたら、もっと早くに会いに行くべきだった」
「いえ……そんなこと、ないです」
「茜ちゃんは新卒だろ? ちょうど研修が終わって、部署に配属になって、どうだ? 仕事の調子は?」
鷹野部長は上品な手つきで焼けた肉を口に運ぶ。
帰国子女! か、かっこいいな――。
当たり前だけど、英語だってネイティブ並にペラペラなんだろう。私は思わず憧れの目で見てしまう。そんなふうに思っていると、注文していたすき焼き御膳が運ばれてきた。
「美味しそう!」
最近はコンビニ弁当がメインだったせいか、いきなりこんな豪勢なものを食べて腹痛を起こさないか心配になる。
「お手伝いいたします」
若い仲居さんが、私と鷹野部長のすき焼きを手際よく準備していく。鉄鍋に牛脂を入れて、すでに下処理された野菜と肉が投入される。薄く切られた霜降りの肉を見ると、かなりいい肉を使っているとわかる。
「けど、茜ちゃんと許嫁と言いながら仕事が忙しくて……。本当は日本に一時帰国した時、何度も茜ちゃんに会おうと思ってたんだ」
「え……?」
いい具合に焼けた肉を卵につける手を止めて、私は鷹野部長に視線を向ける。
「今まで何も連絡せずだったのに、いきなり会いに行くなんて、ちょっと都合がいいかなって……はぁ、男のくせに足踏みしてしまって情けないな。でも、茜ちゃんがこんな綺麗になってるなんて知ってたら、もっと早くに会いに行くべきだった」
「いえ……そんなこと、ないです」
「茜ちゃんは新卒だろ? ちょうど研修が終わって、部署に配属になって、どうだ? 仕事の調子は?」
鷹野部長は上品な手つきで焼けた肉を口に運ぶ。