愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
優雅なお嬢様暮らしからの転落。それはある日突然訪れた。
元々、私の実家は麻布にある政府や大企業御用達の“すず亭”という料亭だった。祖父の代から続く老舗で、お忍びや内密な会合、契約など、大人たちの世界を垣間見て育った。
当時、私は都内で有名な私立小学校に通っていて、ピアノやバレエなどお稽古三昧だったため、同級生と遊ぶことすらしなかった。人付き合いもままならないうち、高校生になったある日のことだった。不況の煽りで、すず亭を贔屓にしてくれていた客足が徐々に遠のいていき、そして、ついに両親の奮闘も虚しく、多額の借金を抱えて長い歴史を持つ店を畳むことになってしまった。
その後、今住んでいる荻窪のアパートに一家三人で移り住み、身を寄せ合い細々と暮らしていたが、父が病に倒れ、その後、母までもが逝ってしまった。借金を抱えた家族など関わりたくなかったのか、親戚筋も冷たく、そんなこんなでひとり娘だった私は、高校生からこのアパートに住んでいる。
ある日、アルバイトで勉強に身が入らなくなった私を見かねた学校の先生が、返済免除制度のある国立大学を紹介してくれた。いい仕事に就くには、いい大学に入らなくては、という先入観があって、私は死に物狂いで勉強してそこに入学した。
そしてなんとか商社に就職が決まったが、相続した両親の借金の返済にほとんどの給料を持っていかれているというのが今の現状だ。
元々、私の実家は麻布にある政府や大企業御用達の“すず亭”という料亭だった。祖父の代から続く老舗で、お忍びや内密な会合、契約など、大人たちの世界を垣間見て育った。
当時、私は都内で有名な私立小学校に通っていて、ピアノやバレエなどお稽古三昧だったため、同級生と遊ぶことすらしなかった。人付き合いもままならないうち、高校生になったある日のことだった。不況の煽りで、すず亭を贔屓にしてくれていた客足が徐々に遠のいていき、そして、ついに両親の奮闘も虚しく、多額の借金を抱えて長い歴史を持つ店を畳むことになってしまった。
その後、今住んでいる荻窪のアパートに一家三人で移り住み、身を寄せ合い細々と暮らしていたが、父が病に倒れ、その後、母までもが逝ってしまった。借金を抱えた家族など関わりたくなかったのか、親戚筋も冷たく、そんなこんなでひとり娘だった私は、高校生からこのアパートに住んでいる。
ある日、アルバイトで勉強に身が入らなくなった私を見かねた学校の先生が、返済免除制度のある国立大学を紹介してくれた。いい仕事に就くには、いい大学に入らなくては、という先入観があって、私は死に物狂いで勉強してそこに入学した。
そしてなんとか商社に就職が決まったが、相続した両親の借金の返済にほとんどの給料を持っていかれているというのが今の現状だ。