愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
「俺はなにも知らなかったし、知らされてなかった。その頃すでにすず亭の経営は傾いていて、今思えば、破綻するのがわかったから、たぶん……茜ちゃんのご両親からそう言ってきたんだと思う」

 借金を抱える身で、鷹野家に縋るどころか、なにか迷惑がかかったらと思って身を引くのは両親らしい。同じ立場だったら、きっと自分も同じことをしていたに違いない。

「辛かっただろ?」

 浜辺に手をつく私に、ゆっくりと鷹野部長の大きな手が私の手の甲に重なる。そんなふうに言われたら、もう我慢できなくなってしまう。

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