愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
「あぁ、もしかして今お帰りでしたか、あなたの債務の件でお話ししたいことがあったんですけれど……」

 その男性は、両親が借金をした会社の担当者で、時々うちに来ては無理な債務整理を要求してくる木下という男だった。ヤミ金業者の人というのもあって、人柄も荒っぽい。人差し指でクイッとブリッジを押し上げる仕草も嫌味だ。

「……債務?」

 鷹野部長は木下のその言葉に反応する。

 もう! 鷹野部長の前でそんなこと言わなくたっていいのに――!

「あの、お話ならまた後日伺いますので! 今日はお引き取りください」

 私がペコリと頭を下げると、木下はフンと鼻を鳴らして私を蔑むような目をして言った。

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