たった一言を君に
瀬良君はゆっくり目を開けてそう言った。

優しい笑を見せて笑ってくれた。

「俺、言いたいことあって…それで追いかけてきたんだ」

瀬良君は私の顔に手を当てる。

「先輩になんかされだろ。行こうと思ったんだけど、先生に雑用頼まれて。そっち優先した俺、馬鹿だよな」


私は首をただ振った。

「中庭後でいったら、苑田が座り込んでて、怖くなかったか。」

今一番怖いはずの瀬良君が私を心配してる。
さっき助けてくれたことといい、今と言い、

どれだけ好きにさせるんだろう。

「瀬良君こそ大丈夫?」

声が届いてるかも気にしないで、そう言った。

「へへ、大丈夫、俺石頭だからな」

相変わらずに笑ってくれた。
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