眠り姫の憂鬱
シャワーを浴びて、薄いブルーのパジャマの上にガウンを羽織り、

隣の部屋に行くと、

3人掛けのソファーにショウゴさんが寝そべって文庫本をめくっていた。

「美月が貸してくれた本だよ。
あの日は読み終わっていないから、もう少し、貸しておいて。
っていうつもりだった。」と微笑む。

「明日、美月の部屋から本を運んでくる?涼子さんと行ってくるといいよ。」と私の顔を覗く。

「私の部屋に行ったことはありますか?」

「いいや。ないな。」

…ないんだ。恋人なのに?

「そうですか…私は自分の事もちっとも覚えていなくて少し自分の部屋にひとりで入るのは…まだ少し怖いです。」と私は文庫本の表紙を撫でた。

「住所はわかってるよ。次の休みに一緒に行こうか?
それまで、俺が持っている推理小説を読めばいい。
俺が持っているのはみんな美月のオススメだけど…」とニッコリする。

「…みんな忘れてしまうって、良い事もあるんですね。
自分のオススメは楽しく読めそうです。」というと、
「美月らしいな。」とショウゴさんは笑い、

「美月と俺はカフェで見かけるお客についてのの推理ごっこを時々した。
なぜ、楽しそうなのか?機嫌が悪そうなのか?悲しい顔なのか?ってね。
でも、美月はこのカフェを出ると、良い事がやってきて、嬉しい顔はもっと、楽しい顔に、悲しい顔や怒った顔も、きっと楽しい顔や笑った顔になるっていつも最後に俺に話したよ。
…俺はそういう美月の優しい考え方が好きになって、美月がいればいつも大丈夫たって…そう思った」
と立ち上がってそっと私を抱きしめ、

「美月はちっとも変わらない。」と柔らかく何度もくちづけした。

…私は変わってないのかな…

「少し、休みます。」と言うと、

ベッドルームに一緒入って私をベッドに寝かせ、
おやすみともう一度、そっとくちづけして部屋を出て行った。
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