Candy Basket


高校三年生の頃。

受験勉強のストレスもあって、私と彼氏は小さなことでよく喧嘩していた。

その度お互い口も効かなくなって。

そういうとき、私はひとりで教室の窓からグラウンドを眺めていた。


「マイ先輩」

不意に呼ばれて振り返ると、アメフト部のユニホームを着た背の高い男の子が立っていた。


「坂井くん」

「マイ先輩、ひさしぶり」

坂井くんが笑顔で近づいてくる。


「部活は?」

「休憩中。窓から先輩見えたから」

見ると、さっきまで練習をしていたアメフト部員達はグラウンドを離れてちりぢりになっていた。


「先輩、何しに来たの?」

坂井くんの問いかけにすぐには答えられず口を閉ざす。

口端を引き上げ肩を竦めると、彼の顔から笑顔が消えた。


「もしかして、彼氏と喧嘩?」



< 72 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop