飛べない鳥に、口づけを。
そんな中……
「かっ……川口さん!
この患者様が、川口さんをご指名しています!!」
事務員の岡田さんが、慌てた様子であたしに歩み寄った。
手には調剤された薬を持っている。
そんな岡田さんの顔は真っ赤だ。
「あたしを……指名ですか?」
思わず聞き返した。
薬局王子の矢沢さんをご指名なら分かる。
まるで、ホストのように多数の指名を取っているから。
だけど、あたしを指名……?
ぽかーんとしながら受け取った処方箋と薬を見て……
あたしは倒れそうになった。