飛べない鳥に、口づけを。
老人ホームを出ると、昼間の太陽があたしたちを明るく照らしていた。
この時期にしては随分暖かいが、それでもビルの間を吹く風は冷たかった。
ぶるっと身体を震わせるあたし。
そんなあたしの手を、樹君はそっと握る。
樹君が触れた瞬間、身体が甘く熱い悲鳴を上げる。
胸が激しい音を立てる。
全身が樹君のことを好きだと叫んでいた。
そんなあたしを、
「ふふっ、菜緒ちゃんは可愛いね」
余裕の表情で見る樹君。