飛べない鳥に、口づけを。




本当に穏やかで優しい人だと思い、さらに樹君が好きになる。

この溢れ出しそうな「好き」という気持ちを、もっと樹君に伝えたい。

だけど、「好き」と言うだけで恥ずかしくて震え上がってしまうあたしに、甘いことなんて言えるはずもなく、



「ごめんね。あたし、ゲーム下手だ」



なんて可愛げのない言葉を吐いていた。




あー……

やっぱり今日もダメダメだ。

恋人とは思えないほどのドライな関係で終わるのだろう。






意気消沈しているあたしを



「じゃ、ゲームはここで終了にしようか」



樹君が気遣ってくれる。

……最低だ。

素直になれない上に、樹君に気を遣わせているなんて。

あたしも、矢沢さんみたいに口が上手かったら良かったのに。

そうすれば、こんな気まずい空気になることもないのに。


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