チェックメイト
「美月に月イチくらいで肉じゃがとか持ってった方がいいいかな。」

「なにそれ、庶民の気持ちを忘れないように?だったら三連プリンじゃない?」

「あはは!そっちのがいい!」

私の呟きに笑ったくせに凜はもっと具体的な案を出してくるから吹き出してしまった。

確かに美月はプリンが大好きだけどね。

「ぷっ。」

二人して盛り上がっていた横から吹き出す声が聞こえて思わず振り向いた。

しまった、そういえば新郎側の受付係も隣にいたんだった。

「あ、ごめんね。あんまりぶっ飛んだ会話してるから我慢できなくて。」

拳を口許にあてて堪えようとしているが、明らかに場所を選ばなければお腹を抱えて大笑いしてそうな雰囲気だ。

「ぶっ飛んだ…。」

けっこう真剣だったのにとんだ評価に肩を落としてしまう。

恥ずかしい、穴があったら入りたい。

「僕も潤の友達だけどさ、周りは皆あんな感じだよ?」

そう言って親指で指した先はさっきの美男子集団。

「あそこにいるのは弁護士、医者、IT企業の社長、不動産会社の次期社長。あ、検事もいるな。」

「お見事。」

ロイヤルストレートフラッシュ並みに突き付けられて凜はそう言い放った。

私も言葉なく頷くだけだったけど、その様子が面白かったのか受付男子はまた楽しそうに笑っている。

「先輩はこんなゴージャスレンジャーの一員だったのか。視聴率高そう。」

「やっぱ美月には差し入れが必要ね。」

「君たち面白いね~。」

そう言ってにこにこ笑うこの人物もなかなかの美男子だと思う。

藤原先輩はどちらかと言えば切れ長の目に高い鼻で、クールな印象を与える顔立ちだけど、この人は大きな目で人懐こいアイドル顔だ。

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