由良先輩はふしだら


『───落書きをしてね!』


そんな明るい案内の声、あんまりにも空気が読めなさすぎだとツッコミたくなる。


「あっ、あの、先輩、なんで……」


なんで今ここでキスなんて……。
私は別に、そんなことされなくたって先輩から離れない。
それとも、今この瞬間に、先生のことを思い出しちゃった?


あんまり考えないようにって思ったけど、先輩にこういうことをされちゃうとやっぱり考えてしまう。


「……今の美子見てたらしたくなった」


「……っ!」


身体中熱くなって、顔が火照っていくのが自分でもわかる。


「そんな、カップルみたいな……」


「カップルみたいなって、そうでしょう?」


そういって優しく笑う先輩。
ううっ、そうだけど、そうじゃないから。


いや、先輩のこんな言動に、特に意味なんてない。
いちいち考える方がダメだ。


先輩は今までだって気持ちがなくてもこういうことできてたんだもん。


今更、胸をざわつかせるなんて。


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