由良先輩はふしだら
「これと、これと……これ!」
直感で背景を選ぶと『撮影するよ』という声がする。
「美子、こっち」
「……へっ!」
横にいた先輩が、私の肩に手を回してきたかと思うと、2人の距離がたちまちゼロになる。
ち、近いって……先輩……!
カシャという音が少しして、画面に映る背景が次のものへと変わる。
案内の声が教えてくれるポーズをする余裕なんて全然ない中、数枚を、主に私だけがあわあわと言いながら撮って、あっという間に最後のカット。
『ぎゅーと抱きしめ合っちゃおう!』
へ??
そんな案内の声がしたかと思うと、バチっと先輩と目が合って。
抱きしめるって……。
いや、そりゃ学校で先輩にはハグしてもらったことあるけど……でも、プリクラでやるってそれはまたちょっと……。
『3、2────』
カウントが始まった瞬間、
「美子、こっち向いて」
先輩のそんな優しい声が聞こえて。
『1』
カシャ
カメラのシャッター音がした時には、私の目の前は目をつぶった先輩の顔でいっぱいだった。
唇には暖かい柔らかな感触。
これって……。