由良先輩はふしだら


「これと、これと……これ!」


直感で背景を選ぶと『撮影するよ』という声がする。


「美子、こっち」


「……へっ!」


横にいた先輩が、私の肩に手を回してきたかと思うと、2人の距離がたちまちゼロになる。


ち、近いって……先輩……!


カシャという音が少しして、画面に映る背景が次のものへと変わる。


案内の声が教えてくれるポーズをする余裕なんて全然ない中、数枚を、主に私だけがあわあわと言いながら撮って、あっという間に最後のカット。


『ぎゅーと抱きしめ合っちゃおう!』


へ??


そんな案内の声がしたかと思うと、バチっと先輩と目が合って。


抱きしめるって……。


いや、そりゃ学校で先輩にはハグしてもらったことあるけど……でも、プリクラでやるってそれはまたちょっと……。


『3、2────』


カウントが始まった瞬間、


「美子、こっち向いて」


先輩のそんな優しい声が聞こえて。


『1』


カシャ


カメラのシャッター音がした時には、私の目の前は目をつぶった先輩の顔でいっぱいだった。


唇には暖かい柔らかな感触。


これって……。


< 135 / 300 >

この作品をシェア

pagetop