由良先輩はふしだら


「そのお友達に俺から話そうか?お昼お借りしてもいいですかって」


「っ!い、いいです!自分でいいます!」


「あ、そう…」


由良先輩を栞に見せるなんてレベルが高すぎる!周りが騒ぐのだって目に見えているもん。


ん?

1人であわあわと焦っていると、由良先輩は顔を横に向けてジッと一点を見つめていた。


保健室を見てる?


先輩の見てる方向に目線を合わせると、昨日と同じようにパステルグリーンのカーテンがゆらゆらと揺れていた。


「美子ちゃん」


「は、はいっ!」


突然、先輩に名前を呼ばれて驚いて返事が大きくなってしまった。



「…キス、してもいい?」


っ?!


は?!


ひ?!


「え、っと……」


まっすぐこちらに顔を向き直した由良先輩の目はしっかり私を見ている。


先輩、今なんて?


昨日、由良先輩には頬にキスをされてしまったけど、きっと今の先輩が言ってるキスはそれと同じじゃない気がするし、


そもそも先輩にとって頬にするキスはキスじゃないかもしれない。



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