由良先輩はふしだら


チャイムが鳴り、佐藤先生が出て行っても、教室はどんより沈んでいて。


さっきのサッカー部の呼び出しって、勝地のことでだったんだ。


きっと、代わりのメンバーのこととかこれから決めていくんだろうな。


「まさか、勝地が怪我したとはね」


次の時間が移動教室のため、筆記用具と教科書を持った栞が私のところに来ながらそういう。


「うん。すごく頑張ってたから、ショックだろうな……」


練習の時、勝地がゴールを決めて、由良先輩に頭をわしゃわしゃと撫でられていた場面を思い出して、胸が苦しくなる。


勝地のあの笑顔、ちゃんとした初の舞台で、見たかったなぁ。


普段はうるさいやつだけど、サッカーしてるときは別だ、本当に、キラキラ輝いていたから。

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