由良先輩はふしだら
*
ピンポーン
あんな話を聞いて、居ても立っても居られなかった私は、放課後、勝地の家のチャイムを鳴らしていた。
勝地とよく一緒にいるサッカー部の友達に、住所を聞いて。地図アプリで調べたらすぐで、表札にはしっかり『勝地』と書かれている。
なんだか少し緊張する。
勝地とはいつも、売り言葉に買い言葉って感じだったけど、今回ばかりは心配で。
『……はい』
勝地は怪我をしてるから、家族の誰かが出るんだろと思っていたので、インターホンの向こうから、聞き慣れた声がして驚く。
「え、勝地?大丈夫なの?寝てなくていいの?親は?」
『ひとんち来たらまず名乗れよバカ。寝るとか……風邪引いてるわけじゃねんだから』
「えっ、あっ……」
『ったく、』
そんな声がしてインターホンの切れた音がすると、今度はガチャっと玄関のドアが開かれた。