由良先輩はふしだら





ピンポーン


あんな話を聞いて、居ても立っても居られなかった私は、放課後、勝地の家のチャイムを鳴らしていた。


勝地とよく一緒にいるサッカー部の友達に、住所を聞いて。地図アプリで調べたらすぐで、表札にはしっかり『勝地』と書かれている。


なんだか少し緊張する。


勝地とはいつも、売り言葉に買い言葉って感じだったけど、今回ばかりは心配で。


『……はい』


勝地は怪我をしてるから、家族の誰かが出るんだろと思っていたので、インターホンの向こうから、聞き慣れた声がして驚く。


「え、勝地?大丈夫なの?寝てなくていいの?親は?」


『ひとんち来たらまず名乗れよバカ。寝るとか……風邪引いてるわけじゃねんだから』


「えっ、あっ……」


『ったく、』


そんな声がしてインターホンの切れた音がすると、今度はガチャっと玄関のドアが開かれた。


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