由良先輩はふしだら
由良先輩を初めて見たのは、受験生の時にこの学校にきた、学校見学の時だっけ。
あの時、由良先輩はちょうど体育の時間にサッカーをしていて。
先輩の汗がキラキラとした宝石に見えたのをよく覚えている。
あの時の先輩を見て、受験を決めた女子はきっと私だけじゃないはずだ。
「かっこいいよな〜由良先輩」
誰も聞いていないことをいいことに、私は踊り場の手すり壁に両腕とその上に顎を乗っけて、由良先輩の顔を思い出す。
本当は…。
もし可能なら…。
一度くらい話して見たいし、
一度くらいちゃんと目を合わせてみたい。
まぁ、あんなに人気者の由良先輩に地味すぎる私が関わることなんて一生無理なんだけどね。