由良先輩はふしだら
「その由良先輩って、そんなにかっこいいの?」
─────何を言ってんだ。
「そりゃ、かっこいいってものじゃないよ。180センチ近くあるあの身長と、絶対崩さないあの由良スマイル。もうあれは国宝級だ────ん?」
後ろからした声に、思わず勢いで答えちゃったけど…。
なんだか聞き覚えのある声だったような…。
まさかそんなわけあるはずない、と思いながら、ゆっくりと首を後ろに回す。
っ?!
…私、好き過ぎて幻覚とか見えちゃう域に到達しちゃったのかな…。
だっておかしすぎる。
っていうか幻のくせに眩しすぎる。
「ゆ、ゆ、ゆ…」
足がガクガクと震えて、
どんどん手から頭から汗が吹き出してくる。
今日、私は死ぬのかな…。
栞と映画観なきゃいけないのにな…。
スボンのポケットに手を突っ込んだまま、残りの階段を上って、私と同じ踊り場に足をつけた目の前の彼。
私は今、完全に夢を見てる気分だ。