由良先輩はふしだら



「その由良先輩って、そんなにかっこいいの?」



─────何を言ってんだ。



「そりゃ、かっこいいってものじゃないよ。180センチ近くあるあの身長と、絶対崩さないあの由良スマイル。もうあれは国宝級だ────ん?」



後ろからした声に、思わず勢いで答えちゃったけど…。


なんだか聞き覚えのある声だったような…。


まさかそんなわけあるはずない、と思いながら、ゆっくりと首を後ろに回す。



っ?!


…私、好き過ぎて幻覚とか見えちゃう域に到達しちゃったのかな…。


だっておかしすぎる。


っていうか幻のくせに眩しすぎる。



「ゆ、ゆ、ゆ…」


足がガクガクと震えて、


どんどん手から頭から汗が吹き出してくる。


今日、私は死ぬのかな…。


栞と映画観なきゃいけないのにな…。


スボンのポケットに手を突っ込んだまま、残りの階段を上って、私と同じ踊り場に足をつけた目の前の彼。



私は今、完全に夢を見てる気分だ。




< 10 / 300 >

この作品をシェア

pagetop