プレシャス~社長と偽りの蜜月~
ガゼボの入口に腰を下ろして私に背を向ける雅人。

西日の光が芝生と雅人の背中を黄金色に輝かせる。


「中に入って話をしましょう」

「ここは朱音のお城。俺は家来だから中には入れないんだよ」


「誰がそんなコト言ったの?幼い時の私?」


「そうだよ・・・」

「中に入れるのは王子様だけだ・・・
俺は朱音の王子様にはなれない。でも、仁志を王子様と認めたワケじゃない。朱音はきっとまだ…王子様に巡り会っていないんだと思う・・・」


「雅人・・・」


「俺は朱音を愛してる。お腹の子も産んで欲しいと思っている。でも、それを朱音が望まないなら、仕方がない」


雅人は肩越しに振り返り、中の私にキモチを伝える。


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