プレシャス~社長と偽りの蜜月~
鍋はちゃんこ鍋。味は豊永さんオリジナルの塩ベース。

樹彦が鍋奉行となり、食材を放り込んでいく。

「二人暮らし出来ない理由訊いたぞ。朱音は料理が下手らしいじゃん」

「私はずっと実家暮らしで3度の食事はずっとシェフが料理してるんだもん」

「さすがは結城家の令嬢。羨ましいわ」

「出来たぞ」

樹彦は私達の取り皿に均等に煮えた白菜やシイタケ、鶏肉などを分け、ダシを注ぐ。


「隠し味の柚子胡椒はお好みだ」

「柚子胡椒か・・・いいね」
樹彦が雅人に同調した。

「それ美味しいの?雅人」

「少しだけかけてみる?」

「うん」

私達は4人で楽しい時間を過ごしていった。

「やっぱり、鍋は人数多い方がいいな」

「言えてる」

樹彦の顔はお酒に酔って赤くなっていた。逆に彼の意見に相槌する豊永さんの顔色はお酒を飲んでも全く変わらなかった。訊けば、彼女はお酒に強く、実家も酒豪の家系らしい。

「インスタにアップする写真撮り損ねたな・・・樹彦」

「今夜は非公開でいいさ。雅人」

「久し振り大騒ぎ出来て楽しかったわ…誘ってくれてありがとう。樹彦」

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