プレシャス~社長と偽りの蜜月~
男性陣はリビングのソファに腰を下ろして、缶ビールを開けて酒を飲みながら談笑する。


以前は仲がいいと思わなかった二人。

今夜は仲良くお喋りしていた。

私の悪阻が収まったが、そのまま復帰するコトなく、正式に会社を退職した。

妊娠5ヵ月目に入り、少しずつ下腹部が赤ちゃんの成長と共にせり出して来た。

「まだ、余り目立たないわね・・・」

「まだ5ヵ月だから・・・」

「腹帯は貰ったの?」

「うん。母がそう言うのにはうるさいから」

「ふうん」

「弓香、缶ビール持って来てくれ」

樹彦はキッチンに立つ豊永さんの名前を呼び捨てる。二人の交際は順調な雰囲気を醸し出し、私は安心した。





< 71 / 87 >

この作品をシェア

pagetop