プレシャス~社長と偽りの蜜月~
私はすぐさまICUを出て個室へと移された。
事故は運転手の突然のてんかん発作による意識喪失が原因らしい。
幸い、運転手の男性も命が助かったようで、事故による死亡者は居ない。

でも、私とお腹の子を庇って撥ねられた雅人のコトが気にかかる。

「赤ちゃんも無事で何よりよ。朱音」

入院して3日目。

私を見舞う母や伊集院院長も雅人の容体を教えてくれなかった。


「いい加減、雅人の容体を教えて。お母様」

「雅人君は・・・手術は成功したわ」

母の声は歯切れが悪いけど、生きているそれだけでも嬉しかった。

「なら、私雅人に会いたい」

「それはダメよ・・・」

「ダメって・・・どうして?」


「意識を戻せてないのよ・・・」


私が事故に遭った時、1週間意識不明が続いた。まだ、3日目、意識を取り戻す可能性はある。



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