水晶の探偵
「で、その女性の相談は?」
晶の質問に国枝は黒い手帳を取り出した。
数ページめくると、手を止め話し始める。
「女性の名前は南城香恵(ナンジョウカエ)政治家の南城政人の娘だ。
兄が2人と母の南城紗恵がおり、5人家族。
香恵さんには恋人がいて、名前は北宮知也。政治家の北宮和也の息子だ。
2人は結婚したがっているが、南城と北宮とは政治的いざこざのせいで仲が悪い。
よって結婚には大反対。」
「ちょっと待った」
まだ話そうとする国枝を遮って晶が言った。
「結婚相談なんて探偵の出る幕ないじゃないですか。なんでそんな仕事私達にたのむんですか??」
「俺が…香恵さんが頼んだのは事態の収拾じゃない」
「じゃあ何です?」
イライラしながらタルトを食べる。
国枝が今までに直接依頼をすることはあったが、こんなめちゃくちゃなのは初めてだ。
晶は全く国枝の言いたいことが読めなかった。
「香恵さんは、北宮知也・和也親子について調べて欲しいらしい」
「北宮親子について?
それって高校生に頼めることなわけないじゃないですか!!
どっか他当たってください」
思い切り言い放つ。